カスタマーハラスメント対策が“義務化”へ~会社が今すぐ準備すべきことと、明日からできる対策3つ~(2026/5/19)
こんにちは、社会保険労務士の綾部です。
近年、「カスタマーハラスメント(カスハラ)」という言葉を耳にする機会が急増しています。
- ・長時間のクレーム
- ・暴言
- ・土下座要求
- ・SNSでの晒し行為
- ・威圧・脅迫
こうした行為によって、現場の従業員が疲弊し、メンタル不調や離職につながるケースが全国で増えています。
そしてついに、2025年の法改正により、
👉 企業のカスタマーハラスメント対策が法的義務となりました。(厚生労働省)
今回は、法改正の概要と、企業が行うべき実務対応について整理します。
■ そもそも「カスタマーハラスメント」とは?
厚生労働省では、以下3つを満たすものをカスハラとしています。
- 顧客・取引先等による言動
- 社会通念上許容される範囲を超えるもの
- 従業員の就業環境を害するもの
例えば、
- ・暴言・人格否定
- ・威圧的な怒鳴り声
- ・長時間拘束
- ・土下座要求
- ・不当な返金要求
- ・SNSへの晒し
- ・脅迫
などが該当しうる例として示されています。(政府オンライン)
■ 法改正で何が変わるのか?
2025年6月の改正労働施策総合推進法により、
👉 企業にカスハラ防止措置義務
が課されることになりました。(厚生労働省)
施行は2026年10月予定ですが、
👉 「まだ先」ではありません。
実際には、
- ・社内ルール整備
- ・相談窓口設置
- ・研修
- ・マニュアル作成
など、準備にはかなり時間がかかります。
■ 会社に求められる法的対策
厚生労働省が示している主な対策は以下です。
① 方針の明確化・周知
会社として、
👉 「カスハラには毅然と対応する」
という方針を明文化し、従業員へ周知する必要があります。
② 相談窓口の設置
被害を受けた従業員が、
- ・相談できる
- ・一人で抱え込まない
体制づくりが必要です。
③ 事後対応体制
実際に発生した際に、
- ・誰が対応するのか
- ・どこまで対応するのか
- ・警察・弁護士連携をどうするか
を決めておく必要があります。
■ 実は「対応しない会社」の方が危険
ここ、かなり重要です。
カスハラは、
👉 「従業員個人の問題」
ではありません。
放置すると、
- ・メンタル不調
- ・休職
- ・離職
- ・労災申請
- ・安全配慮義務違反
につながる可能性があります。
つまり、
👉 “従業員を守らない会社”が法的責任を問われる時代
になってきています。
■ ただし「正当なクレーム」との区別は必要
ここは誤解しないことが大切です。
すべての苦情がカスハラではありません。
例えば、
- ・商品不良への指摘
- ・接客ミスへの苦情
- ・改善要望
などは正当なクレームです。
むしろ企業改善につながる重要な声でもあります。
重要なのは、
👉 「内容」だけでなく
👉 「態様(言い方・やり方)」
です。
■ 明日からできるカスハラ対策3つ
では、まず何をすればよいのでしょうか?
① 「一人で対応させない」
これが最重要です。
- ・上司へ即エスカレーション
- ・複数名対応
- ・録音・記録
👉 「個人対応」から「組織対応」へ
変えるだけでも大きく違います。
② カスハラの定義を社内共有する
現場は意外と、
👉 「どこからがカスハラか分からない」
状態です。
- ・暴言
- ・長時間拘束
- ・威圧行為
などを具体例で共有しましょう。
③ “対応終了ライン”を決める
例えば、
- ・30分以上は上長対応へ
- ・暴言が出たら終了
- ・脅迫は警察相談
など、
👉 「どこまで対応するか」
を決めておくことが重要です。
■ 最後に
カスタマーハラスメント対策は、
👉 “接客の問題”ではなく
👉 “経営課題”
です。
そしてこれからは、
👉 「お客様第一」だけでは従業員を守れない時代
になっていきます。
従業員が安心して働ける会社こそ、結果としてお客様にも良いサービスを提供できます。
👉 「従業員を守れる会社」が、これから選ばれる会社です。
【参考リンク】
- 厚生労働省「カスタマーハラスメント対策について」
厚生労働省 カスハラ対策ページ - あかるい職場応援団「カスタマーハラスメント」
あかるい職場応援団 カスハラ解説 - 政府広報オンライン「カスハラ対策義務化」
政府広報オンライン 解説記事
