求人原稿、ちゃんと書けていますか?(2025/7/15)
NGワードと“求職者目線”の重要性
こんにちは!社会保険労務士・採用定着士の綾部陽介です。
「求人広告を出しているのに応募が来ない」
「面接に来た人がすぐ辞退する」
「やっと採用できたのに定着しない」
そんな悩みを抱える中小企業の経営者や採用担当者の方へ。
実はその原因、求人原稿の書き方にあるかもしれません。
求人原稿は、企業と求職者をつなぐ“最初の接点”です。
にもかかわらず、「前に使ったものを流用している」「何年も同じ文面を使っている」というケースも少なくありません。
今回は、法的に使ってはいけないNGワードと、求職者に届く求人原稿の書き方を中心に、実務で役立つポイントを解説します。
■ 「求人原稿の文章」にも法律がある
求人原稿は自由に書けるわけではありません。
実は「男女雇用機会均等法」「職業安定法」など、いくつもの法令によって記載内容が制限されています。
知らずに違反していると、ハローワークや求人媒体から掲載停止を受けるだけでなく、行政指導や損害賠償のリスクもあります。
そこでまずは、絶対に使ってはいけないNGワードを確認しておきましょう。
■ 求人原稿における代表的なNGワードとは?
【1】 性別を限定する表現
- NG例:女性歓迎、男性スタッフ活躍中、男らしく働こう!
- 理由:男女雇用機会均等法により、正当な理由なく性別を限定する表現は禁止。
※なお、トイレや更衣室など物理的制約がある場合は「女性用設備なし」などの事実表示は可能。
【2】 年齢制限や年齢を想起させる表現
- NG例:若手活躍中、20代限定、シニアは不可、フレッシュな方歓迎
- 理由:年齢制限の記載は禁止(例外あり)。「若手活躍中」も実質的に年齢制限とみなされる可能性。
※例外として、「長期勤続によるキャリア形成のため(例:35歳以下)」などは記載可能。
【3】 国籍・思想・信条に関わる表現
- NG例:日本人限定、日本語ネイティブに限る、外国籍不可
- 理由:人種・民族・国籍を理由とした制限は、職業安定法で原則禁止。
※業務上どうしても必要な日本語能力などは、「業務での読み書き・会話に支障がない方」などの表現で代用。
【4】 その他、不適切・誤解を招く表現
- NG例:アットホームな職場、やる気があればOK、気合重視、体育会系歓迎
- 理由:あいまい・抽象的すぎる表現や、特定の価値観の押し付けは、ミスマッチやトラブルのもとに。
■ 「誰に向けた求人か」が明確になっていますか?
よくある求人原稿の問題点として、「誰に向けたものか分からない」というケースがあります。
たとえば、「未経験歓迎・学歴不問・高収入・アットホームな職場・やりがいあり・キャリアアップ可能」
…一見良さそうですが、内容が散らかっていて、求職者に“自分ごと”として届きません。
■ 求職者目線の原稿づくりで意識すべき3つの視点
① 「読み手の状況」を想像する
求職者は、以下のような悩みや希望を抱えて求人を探しています。
- 「家から近い職場がいい」
- 「前職は人間関係で辞めたから、雰囲気が気になる」
- 「未経験だからちゃんと教えてもらえるか不安」
- 「子育て中なので、急な休みへの対応が気になる」
つまり、「働く自分」を想像できる求人でなければ、応募にはつながりません。
▶ 書き手の都合ではなく、「読み手が安心する情報」を入れることが重要です。
② 求人原稿は「会社紹介」ではなく「読者への提案」
よくある間違いが、「うちはこんな会社です!」「創業〇年、社員数〇名、○○を大切にしています」という“会社自慢”ばかりの原稿。
これでは、企業目線の押し売りになってしまい、求職者には響きません。
大切なのは、「あなたがこの職場で働くと、こんな毎日が待っています」という提案型の構成です。
▶ 「一日の流れ」「入社後3ヶ月の育成スケジュール」「よくある質問」などは、特に好印象。
③ 「ウソなく、でも魅力的に」伝える
誇張・美化された表現は、入社後のミスマッチを生み、早期離職につながります。
- 「残業ほぼなし」と書いておきながら月20時間
- 「優しい先輩がサポート」と言いながらOJTは1日だけ
- 「未経験歓迎」と言いながら実際は即戦力を求めている
こうしたギャップは、口コミサイトやSNSで拡散され、会社の評判を大きく損ねます。
▶ 実情を正直に伝えつつ、「フォロー体制」「工夫している点」「現場の声」を具体的に書くことが信頼につながります。
■ 綾部事務所で行っている採用原稿改善サポートとは?
綾部事務所では、求人票の法的チェックにとどまらず、
- 法律に違反しない原稿チェック
- 求職者ペルソナ設計(誰に向けた募集か)
- 会社の強みの言語化・ストーリー設計
- 求人媒体への適正な表現の書き換え
- 掲載後の反応分析と修正提案
といった、“応募が来て、定着する求人票”を作る支援を行っています。
■ まとめ
採用において、求人原稿の質はすべての出発点です。
そして、その質を決めるのは「法的な適正さ」と「求職者目線」です。
- 「昔のままの原稿を流用している」
- 「媒体に言われるままに書いている」
- 「そもそもNG表現が分からない」
そんなお悩みがある方は、綾部事務所までご相談ください。
法令に沿った安全な表現と、応募者に届く言葉選びで、貴社の採用活動を土台から見直すお手伝いをいたします。
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